ソーシャルメディア活用の必須戦略10ヵ条

IABC's contents (Japanese)

4 January 2016  ガル・ボレンスタイン

2016年に入って、コミュニケーション戦略を立てるにあたり、ソーシャルメディアを常用することが求められます。ソーシャルメディアは企業メッセージを発し、ブランド信用を高め、ファンを増やし、企業ゴールを達成するのに非常に重要な役割を果たします。

Credit: goodluz / 123RF Stock Photo

プロのコミュニケーターとして、2016年こそソーシャルメディアやデータを活用してコミュニケーションを図るのが大切です。ここで紹介する10ヵ条を活用してソーシャルメディアの効果を最大限得られる様にしましょう。

1.モバイル対応するか、否か

2016年以前は、企業がTwitter, Instagram or LinkedInのリンクをモバイル未対応としていても十分しのげました。しかし2016年を迎えたからには、モバイル対応は必須です。モバイル対応出来ていないウェブサイトでのソーシャルメディアでは効果は得られません。ユーザーはキーボードの「削除」ボタンを押すよりも早くに、そのサイトから去ってしまうでしょう。

企業がソーシャルメディアキャンペーンを開始する前に、モバイル対応でレスポンシブデザインであることを確認してください。どうしても社長がモバイル対応でレスポンシブデザインの重要性を理解しなければ、タブレットを手渡し、ご自分で企業サイトでのプロフィール画面を探すように聞いてみて下さい。他の策が失敗しても、これには必ず納得されます。

2. ソーシャルメディアを他のマーケティング計画と一致させる

ソーシャルメディア戦略計画は、他のマーケティング計画と一致していなければ、成功しません。企業のブランド価値と連動させ、その価値を伝達するツールとして用いましょう。クリエイティブにソーシャルメディアを使うのはいいことですが、ブランド価値と一致した使い方が理想です。

マーケティング戦略を立て始める前に、次のような組織の価値やゴールを明確にしておくと分かりやすいです。ブランド認知を高める、エンゲージメントを創り出す・高める、新しい機会を作る、知識や専門性を表す、商品広告、売上向上など。

3. 役員を説得させる分析やデータを提示する

正直に振り返ると、未だかつて役員より「ソーシャルメディアのROIが最高だ!第一四半期での売上にとても貢献したよ!」などと言われたことはないでしょう。社長や担当役員にソーシャルメディアのROIを説明することほど難しいことはありません。

過去にはソーシャルメディアの効果を測る分析やデータはあまり存在しませんでした。今やビッグデータを活用して役員が懐疑的に思われていることを立証することができます。

では、何を測定したらいいのか?単にトレンドを測るのではなく、経営陣が知りたがっていることを測りましょう。最も重要なのは、例えソーシャルメディアプランを立て終わっていても、そのプランが売上やマーケティング、採用やCSRの効果測定ができないのであれば、再度立て直すべきです。折角ソーシャルメディアで大きな成果を上げても、上司に「だから?ターゲットに届いていないのであれば、関係ないよ」と言われることほど悔しいことはありません。測定する例として、次を参考にしてみてください。デジタルエンゲージメントレベル測定、メッセージの説得性、シェアされるスピード、リピート訪問回数、CEO白書のダウンロード数や影響力のある第三者サイトへのリンク数など。

4. ソーシャルメディア投稿の測定システムを策定する

全ての測定が重要なわけではありません。Twitter, Instagram, YouTube, LinkedIn や Vineに投稿した全ての記事が貴方の会社にとって重要なのではありません。ソーシャルメディアでの測定は社内でのみ共有されるので、0-10の数値で簡単な測定システムを確立しましょう。あなたが最も重要だと感じるソーシャルメディアのエンゲージメント価値を高く設定すればいいのです。

例えば、社長や役員の方々が重要視される3つのポイントに絞り、ビジネスにインパクトを与えるものに高い数値を付けるのです。くれぐれも意味のないデータを羅列してレポートを複雑にしすぎないように。得られた測定効果は効果的に使ってこそ、活きてくるものです。

5. ソーシャルメディアで「いい仕事」を見せる

ソーシャルメディアの特性として即時共有性があり、また人間の特性として喜びを分かち合うというものがあります。これによって企業のCSR活動を有効に知らせる事が出来、そのプロジェクトの最中に報告できます。悪いニュースはすぐに共有されますが、よいニュースはソーシャルメディアによって更に早くシェアされます。

参考例として、アメリカの非営利団体のAARP のメンバーは50歳以上でソーシャルメディアを積極的に活用している層でないにも関わらず、それを用いて活動報告を行ったことが大きな反響を得ています。AARPは、やはり非営利団体で恵まれない方への食料、水、教育と医療を提供するThe Outreach Programと組み、5,000人以上のAARP会員が、1,200万食もの食事を2015年9月11日の金曜日にワシントンD.C.でのイベントで提供し、下記のようなツイートをしました。

ここで重要なのは、計画的にツイートをし、Facebook での投稿や写真を載せることよりも、正しいバズを健全なソーシャルメディアコミュニティで起こすことの方が労力を要するということです。しかしながら、ユニークなコンテンツを創り出し、正しい機会を捉えて、効果的にメッセージを出すことが効果的なソーシャルメディアの使い方です。

6. 起こっている事を時系列で追う

今まで、企業はブランドガイドラインに則って企業と関連のないことがらには触れないようにしてきました。世界で何が起ころうとも、企業が感情的にコメントを出すようなことはありませんでした。

しかし、2016年を迎えた今、ソーシャルメディアバズの力で、企業の姿勢は瞬時に知られてしまいます。例えば、欧州難民問題が起こった際に、あなたの企業では、その件についてどのようにソーシャルメディアで語るかを検討するチームを編成しましたか?国際的な事件に関する政治的見解を述べよ、という訳ではありませんが、ソーシャルメディアを活用する戦略に企業のイメージを高められるニュースに対応する策を加えておくのも一考です。

7. 経営トップのアカウント内容との齟齬を避ける

全ての経営トップがソーシャルメディアを上手く活用できているわけではありません。片や経営トップ個人の見解をツイートしている企業もあり、その内容が企業姿勢と反していれば、混乱を招きかねません。今や個人と企業のソーシャルメディアの垣根が存在しないので、2016年度の戦略を考える際に企業の関心と一致していなければなりません。例えば、如何に企業アカウントで上手くやっていても、社長が酔っ払った姿をソーシャルメディアに晒したら、全く効果がありません。

8. ソーシャルメディアでの危機管理計画を作成する

これは、「もし」ではなく、「いつ」の問題です。例えば、セキュリティがハックされて何百万もの顧客に損害を得たり、顧客対応に不満を持った人がそれを録音してソーシャルメディアで拡散したりするケースはいくらでも考えられます。まずはソーシャルメディアでの危機対応を管理していなければ、ソーシャルメディアを活用する心構えが足りません。

ソーシャルメディアユーザーはネガティブな事件が起きてから数時間での対応を求めます。企業が即時対応できないと、否定的な嵐はどんどん増します。昔は危機的状況が起こった時には、情報をかき集めてからコメントを出せばよかったのですが、今では企業ブランドは個人のソーシャルメディアアカウントによってコントロールされています。

では、危機管理に備えるとは、どのようなことをすればいいのでしょうか。下記の3つのポイントで潜在的な危険を避けることができます。

  • 非常時に企業トップとコミュニケーターが瞬時にコミュニケーションを取れるコントロールセンターを立ち上げること。
  • 経営トップからのサポートを得られなければ、如何なるコミュニケーションのプロでも危機的状況には対応できません。スピードが最重要なので、コミュニケーターにトップとのホットラインを与えることです。
  • 企業側のレスポンスが遅いからといって、ソーシャルメディアアカウントに企業ブランドを語らせてはいけません。今のデジタルメディア時代では、レスポンスをしないことも、レスポンスとして捉えられます。必ず早くに応対しましょう。

9. 社内でソーシャルメディアの活用評議会を設置する

もしソーシャルメディアの投稿に企業のブランドアンバサダー*(ブランドアンバサダーとはブランドの良さを人々に広めてくれる社員)を含めていないとしたら、ソーシャルメディアの使い方を間違えています。彼らの活用方法とは、まずカジュアルな昼食会で様々な分野において企業が発信するべき事項について聞き出すことです。早い段階から彼らを巻き込むことによって、彼らがソーシャルメディアで効果的な拡散効果を図ってくれます。

10. ターゲットに向けて必要不可欠なソーシャルメディア投稿を行う

気楽に影響力のあるソーシャルメディアを活用するには、企業は人が本当に喜ぶ品質の高いコンテンツを作ることです。2016年では、ソーシャルメディアで企業中心のメッセージばかりを行っていると、世の中から取り残されます。例えば、提携した企業情報や新しい従業員について、企業ピクニックなどをツイートしてもフォロワーに何も得られる情報を与えられません。ソーシャルメディアを上手く活用している企業は新しいファンや顧客を獲得できるような感情移入できるようなコンテンツを作っています。企業のパーソナリティや誠実さを役立つヒントやハウツーガイド、面白いインターネットイベントの紹介やビデオを投稿しています。ソーシャルメディアの投稿は「この投稿でフォロワー達は何を得られるだろうか?」という質問に答えられるように行い、答えを明確にできない場合には、違うメッセージを考え直した方がいいでしょう。

Gal Borenstein


ガル・ボレスタインはデジタルブランディング、マーケティング、ソーシャルメディア、広告、オンラインレピュテーションマネージメントやPR関連でよく知られている専門家。Borenstein GroupのCSO(Chief Strategy Officer) 及びCEOであり、ワシントンD.C.周辺にあるトップデジタルマーケティングコミュニケーション会社で国内外のクライアントを抱えています。新しいビジネスリーダーシップ書籍、「ACTIVATE! How to Power Up Your Brand to Dominate Your Market, Crush Your Competition & Win in the Digital Age」の著者でもあります。

Filed Under:

特集、2016年1月、タグ:ソーシャルメディア戦略

記事原文はこちら

http://cw.iabc.com/2016/01/04/10-strategic-imperatives-social-media/