そもそもIABCって? ― IABCワールドカンファレンス・レポート(1)

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下平博文
IABCジャパン理事(花王株式会社)

先日、IABCのワールドカンファレンスの報告会を実施しましたが、少し補足をしたいと思います(報告会の様子はこちら)。
ところで、報告の前提として 「そもそもIABCってなに?」 という質問を受けることがあります。それについてはホームページに行けばいくらでも情報があるのですが、「いったい世界にはそういった団体がどのくらいあって、IABCの位置付けはどこらあたりなのか?」 といったことは意外に把握しにくいですね。

そこで、いろいろみてみたのですが、広報・PRの教科書として広く読まれているスコット・M・カトリップ他 『体系 パブリック・リレーションズ』(2008年発行版) には、PRの国際的な専門組織・団体として、このIABCと国際パブリック・リレーション協会 (IPRA)の二つが挙げられています。データは本が発行された2008年のものです。

IABC (国際ビジネス・コミュニケーターズ協会)
設立:1970年
会員:60カ国 13,000人
本部:サンフランシスコ
活動:倫理規定、教育、資格認定制度、アワード、会誌発行

IPRA (国際パブリック・リレーションズ協会)
設立:1955年
会員:77カ国 1,000人
本部:ジュネーブ
活動:倫理規定、アワード、会誌発行、途上国支援

ざっくり言ってしまえば、広報・PR関連でグローバルに活動している業界団体は、北米を拠点とする IABCと、欧州を拠点とする IPRAの二つがある、ということでよいのではないかと思います。
しかし、IABCはインターナショナルをうたいつつ、北米ローカルの色合いがかなり濃いという印象もあります。こうしたことは、会員や事務局にも認識されていて、そこからの脱却を図る試みがされているようですがやはり数の力は強いですね。ちなみに今回のプレゼンテーターやスピーカーの数をざっくり数えてみました。はっきりしないのは省いてありますので、きっちり正確な数字ではありません。

• USA:64
• カナダ:17
• 英国:6
• ベルギー、スイス、UAE、南アフリカ、ドイツ、オーストラリア、デンマーク、中国、イタリア、アイルランド:各1

こうした数字をどうみるかですが、広報・PR業界そのものがUSAから始まり、研究や教育も英語圏がリードしているという現状から、ある程度自然だという言い方もできるし、それにしてもローカル偏重ではないか、という疑念も理解できるといった感じではないでしょうか。個人的には、IABCで語られるから正しいとか、進んでいるとかいった無批判な受け止め方をしなければ、それでよいのではないかと思います。

英語については、ネイティブではない人も参加しているという前提で運営がされていると思いますが、会場で議論が白熱したり、受け狙いでジョークを連発するようなプレゼンテーターの場合は、ちょっとつらいですね。次回から、少しずつ内容について触れていきたいと思います。